Daniel Morris

Daniel Morris

Chief Market Strategist, Co-Head of the Investment Insights Centre

Bio

Unfortunately, there is no biography at this moment.

Location London

Joined 2015

Articles from Daniel Morris

Article

月次市場見通し:米経済の力強い成長が金利リスクを高める

米経済の力強い成長が金利リスクに このところ原油価格が市場全体を左右する大きな要因となっていますが、こうした傾向は中東情勢が安定するまで続く見込みです。一方で、人工知能(AI)も引き続き重要な要因となっています。金利上昇は通常、ハイテク株や小型株にとってマイナス要因となります。実際に、米国の代表的な小型株で構成されるラッセル2000指数は、9月に入って他の指数に比べて出遅れています。それでも、ハイテク株は好調な企業業績見通しが金利上昇の悪影響を相殺し、堅調な動きが続いています。 ただし、米国債の利回り(そして間接的には世界の利回り)には、新たなリスクが生じています。購買担当者景気指数(PMI)が示すように、米国の経済活動が再び加速していることは、インフレ率が依然として米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回る中で、トレンドを上回る経済成長が継続していることを示唆しています。たとえ原油価格が下落したとしても、経済が過熱するリスクが高まっているため、債券利回りが高止まりするというリスクが出てきています。比較的高い成長率とインフレ率は、株式相場にとって追い風となるため、株式市場は最初こうした経済環境を歓迎するしれません。しかし、米政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利に対する市場予想がさらに高くなれば、相場の調整はより厳しいものになることも想定されます。 市場による価格の誤評価か 米国債は売り圧力にさらされており、9月には長期債利回りが数十年ぶりの高水準を記録しました。これは地政学的な不安定性に加えて、エネルギー価格の高騰、インフレ見通し、巨額の政府債務、および金融引き締め政策といった要因が複合的に作用した結果であり、これらすべてが、タームプレミアム(長期債における追加の上乗せ金利)の上昇につながっていると考えられます。利回りに左右されない買い手(中央銀行、外貨準備管理者など)が減少する中で、投資家は長期資産を保有する際、より高い利回りを求めるようになっています。こうした流れは、規制や法制度の変更(オランダの年金基金改革、ドイツの債務ブレーキの見直し)や、いわゆるハイパースケーラーによる社債の大量発行に伴う競争の激化によって、さらに加速しているようです。 欧州や英国では、市場価格と経済実態との間に明らかな乖離が見られます。現在の市場による政策金利の期待値は、特に供給ショックへの反応において、過度に強気であると思われます。この乖離の大部分は、経済を安定させる理論上の金利である「中立金利」に起因しています。市場は、人工知能(AI)による生産性の向上(そして、それに伴う将来的な中立金利の上昇)を織り込んでいるようですが、中央銀行側は慎重な姿勢を維持しています。また、中央銀行は一貫してデータ依存のアプローチを強調しているため、現在の市場価格は行き過ぎている可能性があります。こうした過剰な期待は、中央銀行のアプローチにより密接に沿う形で調整されると考えられ、結果として長期債券利回りのボラティリティを低下させると見ています。 金 ― 利上げ後の視点 好調な米国経済と債券利回りの上昇に直面する中、金価格は底堅く推移しています。これは金利が重要ではなくなったということではなく、貴金属に対する投資家の需要の高まりを市場がより重視していることを示唆していると思われます。米FRBが再び利上げに踏み切れば、金価格は調整局面に入る可能性が高いものの、その影響は限定的となりそうです。季節的な需要の増加に加え、中央銀行やその他の公的機関による買い入れが継続していることから、中期的には金のリスク・リターンのバランスは上昇の可能性に傾いていると見ています。 外貨準備管理者は、戦略的なポジション構築を目指し、価格の下落時や安定時に買い増しを続けています。とりわけ、中国は8月にさらに20トンを追加し、今年の累計購入量は80トンに達しました。また、金の上場投資信託(ETF)においても、年初に記録した高値に向けてポジションの再構築が進んでいます。 投資家は、目先の経済指標の発表や、利回りを生む資産ではなく金を保有することによる潜在的な機会損失(インカム収入の喪失)を超えた視点を持つようになっています。市場の関心は、マクロ経済、政策、および地政学的リスクが混在する状況において、ポートフォリオの耐性を高めるための手段としての、中長期的な金の役割へと移行しているものと思われます。 投資アイデア – 柔軟性のあるユーロクレジット投資戦略 ユーロ建てクレジット市場は、地政学的緊張やエネルギー価格の高騰にもかかわらず、強固なファンダメンタルズと堅調な企業業績に支えられ、底堅く推移しています。社債のリスクプレミアムは依然として低い水準にあるものの、金利上昇などの市場動向が支援材料となり、絶対利回りの上昇と良好なインカム収入をもたらしています。また、市場がすでに欧州中央銀行(ECB)による追加利上げ見通しを織り込んでいることを踏まえると、戦術的なデュレーション調整が有益となると見ています。機敏かつ柔軟なアプローチをとることで、ハイイールド債や劣後債を含むユーロ建てクレジットの幅広い領域における投資機会を活用することができるでしょう。セクターや信用格付けに応じたアクティブな配分と厳選した銘柄選択が、潜在的なリターンを生み出すための主要な手段であることに変わりはありません。 投資アイデア – インフレおよび金利変動への備え 地政学的緊張により、特にエネルギー価格の変動からインフレの不確実性が高い水準で続いており、金融情勢は引き続き引き締め的な状態にあります。各中央銀行が明確にタカ派的な姿勢に転じたことで、短期的な成長ポテンシャルとインフレリスクを考慮すると、短期のインフレ連動債にとって好ましい投資環境と思われます。すでに複数回の利上げが市場価格に織り込まれていることから、インフレ連動(元本がインフレに連動する特徴)と、債券を保有することで得られる潜在的なリターンの両面において、年末にかけて良好な投資機会が生み出されることが期待されます。短期戦略(ショート・デュレーション戦略)は、全期間戦略に比べて金利感応度が低いため、インフレ上昇のリスクに対するヘッジとして有効であると考えられます。 投資アイデア – AI開発を可能にする環境ソリューション…

Article

月次市場見通し:金利上昇のゆくえと活況なデータセンター

金利上昇の脅威に直面 8月の株式市場は堅調な企業業績を追い風に上昇し、9月を迎えました。4-6月期の決算発表シーズンは、ほとんどの市場やセクターで力強い成長が示され、2026年の1株当たり利益予想が上方修正される結果となりました。一方で、市場は金利上昇の見通しにも直面しています。議論の焦点は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2026年に利上げを行うかどうかではなく、年内に何回利上げを行うかという点に移っています。米国のインフレ率は依然として目標を大幅に上回っており、FRBのウォーシュ新議長は、これを目標まで引き下げる考えを明言しました。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利が上昇すれば、資金調達コストが高くなるため、株式市場にとっては逆風となる可能性が高まります。重要なポイントは、金利がどの程度、またどのくらいの速さで上昇するかという点でしょう。幸いなことに、2022年~2023年に見られた、政策金利が5%も上昇するような状況は、当面は起こりそうにありません。堅調な経済成長が続く限り、政策金利の緩やかな引き上げであれば、最終的には市場が吸収できると考えられます。 データセンターがもたらす利点 米国におけるデータセンター建設の急増が、実物資産を取り扱う重工業セクター全般に広範な景気回復をもたらしており、これは東アジアにおける人工知能(AI)ブームとは対照的な状況となっています。台湾、韓国、日本では、AIに関する議論は主に最先端のハードウェア製造分野に限定されています。このテクノロジー主導のビジネスモデルは極めて収益性が高い一方、経済的な影響が特定の分野に集中し、他のセクターへの波及効果は限定的です。対照的に、米国でのデータセンターという物理インフラの構築は、国内の既存産業全体に波及し、強力な経済的相乗効果をもたらします。統計データを取り扱うStatista社によれば、世界中には13,385のデータセンターがあり、そのうち米国には約4,400カ所が存在します。次いで多いのが英国で、推定550カ所となっています。 米国では、主要なデータセンター建設はほぼすべてが国内でまかなわれています。旺盛な電力需要がエネルギー部門を活性化させ、送電網インフラ、原子力発電、および再生可能エネルギーの導入に向けた投資を促進しています。こうした設備拡充には広範な土木工事、物理的なセキュリティ設備の設置、そして地域的な公共インフラの拡張が必要となります。これにより、構造用鋼材の生産とともに、大型電気設備製造への需要が生まれ、建設エンジニアリング全般への需要につながっています。その結果、アジアがマイクロチップを通じてAIを推進しているのに対し、米国の設備拡充はより広範な産業復興を後押しする触媒としての役割を果たし、国内経済全体の製造業、エネルギー産業、工業部門を底上げしています。 転換社債という選択肢 債券利回りの上昇傾向は、株式市場の好調な推移と並行して続いています。金利上昇見通しを勘案すれば、株式は今後も債券を上回るパフォーマンスを維持するものと思われます。しかし債券市場に希望がないわけではありません。投資家は、債券ポートフォリオの中で株式に近い要因からリターンを得られる可能性があります。その一例がハイイールド債です。指数ベースのクレジット・スプレッド(国債との利回り差)は米国市場で260ベーシスポイント(2.60%)となっており、欧州ではそれをわずかに上回る水準です。一般的な3年の償還期間で考えると、国債と比較して8%以上の追加の複利リターンが潜在的に見込まれるということです。また、特に中央銀行が政策金利を緩やかに引き上げるようなケースでは、変動利付債の魅力が高まる可能性もありそうです。 そして、高い利回りと株式相場の上昇の両方から恩恵を受けられる資産クラスの一つが転換社債です。転換社債の一部には、変動金利となっているものもあります。投資家は債券のようなリターンを得られるだけでなく、発行企業の株価が上昇した場合には株式に転換する選択肢も得られます。転換社債は仕組みが若干複雑ではありますが、現在のような市場環境において、潜在的に良好なリターンが見込まれます。2026年の年初来で見ると、米ドル建てのグローバル転換社債指数のリターンは、ほとんどの債券指数を大幅に上回り、多くの株式市場のリターンと比べても引けを取らない水準となっています。 投資アイデア – 米国および新興国におけるディスラプティブ(創造的破壊)・テクノロジー戦略 根拠: AIブームは、グローバル経済全体に革新的で有益な新製品やサービスを提供するとともに、事業活動や雇用体系を変革する力を秘めています。より強力なアプリケーションが開発されるにつれて、AIインフラ、バリューチェーン、ソフトウェア・アプリケーションへの投資機会はより多く創出されることになるでしょう。このテクノロジーの未知なる可能性は、引き続き強力な設備投資と潜在的なリターン機会の創出を下支えすると思われます。 投資アイデア – 欧州株式 根拠: 欧州の経済的自立の達成に向けた戦略的な重点分野が、引き続き2026年の欧州株式の投資機会のサポート材料となるでしょう。防衛やデジタルインフラ、グリーンテクノロジーへの支出が欧州全域で優先され、長期にわたって欧州主要国や欧州連合(EU)全体の取り組みからも恩恵を受けると予想されます。この影響は多くのセクターに波及することも期待されます。欧州株式は米国や日本よりも低いバリュエーションで取引されているため、欧州株式の潜在的な投資機会は多いとみています。 投資アイデア – 米国ハイイールド債 グレジット市場の投資環境は引き続き良好です。世界経済の成長はエネルギーショックに対して耐性を示し、企業収益も堅調さを維持しています。金利の上昇により利回りが上昇し、インフレ率は2.0%を上回って推移していることから、米FRBによる年内の利下げの可能性はほぼなくなったとみられます。これにより、クレジット市場の利回りは魅力的な水準で推移する見込みです。投資適格社債の発行が増加している一方で、ハイイールド債市場は、信用力の向上や、テクニカル面およびキャッシュフロー面での好材料により、引き続き恩恵を受けています。7%を超えるハイイールド債の利回りは魅力的であり、2026年8月までの米国ハイイールド債のインカム収益は4.2%程度となっています。この市場セグメントでは、厳選された銘柄選択とレバレッジの適切な活用により、指数に対してトータルリターンをさらに向上させる可能性もあると思われます。 資産クラス別概要 表明された見解は、資産クラスのリターンおよびリスクに関する BNPP…

Article

月次市場見通し:企業利益の増加とアジア諸国の脱オイル

By Daniel Morris, Chief Market Strategist; Alessandro Tentori, Chief Investment Officer, Europe; Chi Lo, Senior Market Strategist, Asia Pacific  …

Article

素晴らしい4-6月期決算、なぜ株価は下落したのか?

By DANIEL MORRIS 31.07.2026 米S&P500指数の約半数の企業が4-6月期決算を発表しましたが、この決算発表シーズンはこれまでのところ「大成功」と呼べるほど素晴らしいものでした。S&P500指数の4-6月期の利益は前年同期比で26%の増加となっています。テクノロジー企業の比率が高い株価指数は、人工知能(AI)関連の大規模な設備投資によって、より高水準の増益率となっています。ナスダック100指数の増益率は43%に達しています。さらに際立っているのが新興国市場で、テクノロジー企業の好業績によって増益率は2倍超(105%)に達しています。 さらに、これらの利益は、全体的に市場予想も上回っています。通常、企業が発表する純利益は各四半期において市場予想を3〜4%程度上回るケースが多いですが、この4-6月期は、サプライズ比率(市場予想を上回った幅)は、5~30%超にわたっています。 決算発表シーズンの順調さを示す指標としては、ポジティブなフォワードガイダンスを提供する企業の割合がありますが、これも歴史的に見て高い水準で推移しており、かつ上昇傾向にあります。図表2に示したように、この割合は1年間にわたって長期平均を上回っており、足元で大きく改善していることが確認できます。 市場の反応 このような決算発表を受けて、株式市場は上昇していると予想されるかもしれません。しかし、多くの主要株価指数は7月に入ってマイナスのリターンとなっています。 足元の株価下落にはいくつかの要因があり、その中には一時的なものも含まれているでしょう。主なマイナス要因の一つは、7月に約20%上昇している原油価格があり、投資家は中東での紛争が再び激化することを懸念しています。原油価格に合わせて国債利回りも上昇しており、インフレ懸念が経済成長見通しに悪影響を与えているようです。 7月28-29日に米連邦準備制度理事会(FRB)が開催した連邦公開市場委員会(FOMC)は、さらに経済見通しに複雑さを加えました。FRBは利上げを見送ることを決定し、FOMC後の記者会見は総じてハト派的なものと解釈されたようです。一方で、市場関係者は、FRBのインフレ抑制に対する姿勢を確認するとともに、その目標達成に向けてどのような手段を用いるかについては依然として不透明であるとしています。 記者会見後、当面の利上げ観測が薄れたことで米2年債利回りは低下しましたが、長期債利回りは原油価格とともに上昇しました。米10年債利回りの方がドイツ10年債よりも上昇幅が大きく、インフレ見通しへの懸念やFRBからの情報不足によるタームプレミアム(期間にともなう上乗せ金利)が反映されている可能性があります。 一方、新興国のテクノロジー株は7月に大幅な調整となっており、韓国のハードウェア株や半導体株は6月のピークから2026年7月30日まで47%程度も下落し、その後は反発しています。この急落は台湾や米国のテクノロジー株にも波及しています。ただし、この急落にもかかわらず、韓国のテクノロジー株は年初来で79%、台湾株は49%上昇しているということに留意する必要があるでしょう。 他の市場はより耐性が強かったと言えます。MSCI欧州株指数は7月もプラス圏内にあり、ラッセル1000バリュー指数は堅調な企業利益を背景に7月に入って3%以上の上昇となりました(図表3参照)。 テクノロジー株の堅調な決算発表を見ると、新興国株式の7月の下落は、企業利益が根本的な再評価されたものというよりも、むしろ過剰なポジション調整や、収益見通しの修正によるものであることを示唆しています。この下落によってテクノロジー株の割高感は払しょくされ、今後数四半期にわたって利益が大幅に増加すると予想されていることから、いずれは持続的な回復が見込まれます。 一方、非テクノロジー株は総じて堅調に推移しており、とりわけ米国ではAI関連支出の波及効果と堅調な消費者需要によって支えられています。これらのサポート材料が近い将来に弱まる可能性は低いとみています。 過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2026年7月30日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。(オリジナル記事は7月31日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

Article

AIの収益化:イノベーションの推進と多様な投資機会の創出

By BNP Paribas Asset Management Chief Market Strategist, Daniel Morris, and co-Head, Environmental Strategies Group, Edward Lees   人工知能(AI)は実験段階から大規模な導入段階へと移行し、より幅広い産業において、具体的な収益を生み出す原動力となっています。 AIモデルの性能が向上するにつれ、より多くの企業や産業でAI導入が進み、新たな価値の創出や収益の拡大が見られるようになっています。そしてAIは経済の様々な分野に、さらに広く浸透する潜在性をもつと考えられます。…

Article

2026年下半期の見通し:株式および債券投資家にとって先行きは引き続き明るい

2026年上半期における世界のマクロ経済見通しは、中東紛争への懸念、人工知能(AI)への継続的な投資拡大という2つのテーマが焦点となりました。 原油価格の高騰は、エネルギー依存型の経済や個人消費にとって脅威となりました。一方で、AIへの設備投資によってデータセンター建設に必要な建設資材やネットワーク機器、その他の関連分野への需要が急増したことから、いくつかの経済圏において製造業の経済活動が活性化しました。 全体として、成長見通しは下方修正されたものの、その修正幅は限定的なものにとどまりました。 大きな懸念となっているのは、エネルギー価格の高騰がインフレに与える影響で、結果として、主要中銀はよりタカ派(金融引き締め)の姿勢を強めています。 市場は政策金利の引き上げを織り込み始めたものの、中東での紛争開始後、実際に金利を引き上げた主要中銀は欧州中央銀行(ECB)と日本銀行のみでした。 こうした世界的な情勢の中でのわずかな金融引き締めは、金融市場やクレジット需要の動向にほとんど影響を与えていないように思われます。世界経済は重大な供給ショックに直面しましたが、再びその底堅さを証明したと言えるでしょう。 より明るい先行き 米国とイスラエル、イラン間での停戦合意を背景に、2026年下半期の経済見通しは改善しました。 ホルムズ海峡を通るタンカーの航行が再開されたことを受けて原油先物価格は下落しました。ただし、石油やその他のエネルギー市場が正常化するには時間がかかる見込みで、消費者はエネルギーコストの高止まりに直面する可能性があります。それでも、エネルギー価格が紛争前の水準に戻りつつあることは、成長とインフレ見通しにとって明るい動きとなるでしょう。 エネルギー価格も含めたインフレ率はすでにピークを過ぎた可能性があり、中央銀行は利上げ期待を高めるような動きには消極的になっているとみられます。とはいえ、金融緩和が期待できる状況でもありません。金融政策に何らかの動きがあるとすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)や英中銀(イングランド銀行)による緩やかな金融引き締めが依然として有力視されます。 投資家は、今後数カ月のインフレ動向に注目し、どのような二次的影響が生じたか、また長期的なインフレ期待が払拭されたかどうかを評価することになると思われます。当社の見解としては、インフレ期待はまだ完全に払拭されておらず、中東での紛争が再燃するリスクもあるとみています。しかし、基本的な見通しはより楽観的で、先進国および新興国経済の成長がある程度は改善する可能性が高いでしょう。 AIのバリューチェーンに属する一部の企業の収益性について疑問の声も上がっているものの、AIインフラ(半導体、PCハードウェア、データセンター)への投資に加えて、企業によるAI製品の導入に向けた投資は、いずれも今後も成長の追い風となり続けると予想しています。 債券市場の見通し:良好なリターン獲得へ 中央銀行が当面の間、現在の政策金利水準を維持できそうな状況であることから、2026年下半期の債券市場は堅調になる可能性があります。 ハイイールド債などのインカムリターンが高いセクター、インフレ連動債、あるいは金利感応度(デュレーション)が限定的であるセクターは、上半期に好調なパフォーマンスを示しました。当社では、ハイイールド債や新興国債券は、下半期も堅調なパフォーマンスを維持するとみています。 主要国の国債利回りは、名目GDP成長率から適切な水準と言える範囲内で落ち着いているようです。そして、これらの国債利回りは、世界金融危機後の平均的な水準を上回っています。 中央銀行はもはや長期金利を抑制することを目的とした金融政策を追求していないため、現在の長期金利の水準は、金融危機以前に見られたように、マクロ経済情勢をより強く反映したものとなっています。 大まかな目安として、米国の10年債利回りは4.25~5.0%程度の範囲と想定され、欧州国債はソブリン・スプレッドに応じて(イタリア、スペインなど周縁国の利回りはいずれもドイツの利回りより若干高くなる)、2.5%~4.0%程度の範囲に落ち着くと想定しています。 インカムリターンを重視する理由 もちろん、構造的なインフレ率の上昇や政府債務の水準について、長期的な懸念はあります。しかし現時点で、主要国債利回りは安定しており、それがクレジット市場に対する楽観的な見方につながっているようです。…

Back to Top