月次市場見通し:金利上昇のゆくえと活況なデータセンター
金利上昇の脅威に直面 8月の株式市場は堅調な企業業績を追い風に上昇し、9月を迎えました。4-6月期の決算発表シーズンは、ほとんどの市場やセクターで力強い成長が示され、2026年の1株当たり利益予想が上方修正される結果となりました。一方で、市場は金利上昇の見通しにも直面しています。議論の焦点は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2026年に利上げを行うかどうかではなく、年内に何回利上げを行うかという点に移っています。米国のインフレ率は依然として目標を大幅に上回っており、FRBのウォーシュ新議長は、これを目標まで引き下げる考えを明言しました。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利が上昇すれば、資金調達コストが高くなるため、株式市場にとっては逆風となる可能性が高まります。重要なポイントは、金利がどの程度、またどのくらいの速さで上昇するかという点でしょう。幸いなことに、2022年~2023年に見られた、政策金利が5%も上昇するような状況は、当面は起こりそうにありません。堅調な経済成長が続く限り、政策金利の緩やかな引き上げであれば、最終的には市場が吸収できると考えられます。 データセンターがもたらす利点 米国におけるデータセンター建設の急増が、実物資産を取り扱う重工業セクター全般に広範な景気回復をもたらしており、これは東アジアにおける人工知能(AI)ブームとは対照的な状況となっています。台湾、韓国、日本では、AIに関する議論は主に最先端のハードウェア製造分野に限定されています。このテクノロジー主導のビジネスモデルは極めて収益性が高い一方、経済的な影響が特定の分野に集中し、他のセクターへの波及効果は限定的です。対照的に、米国でのデータセンターという物理インフラの構築は、国内の既存産業全体に波及し、強力な経済的相乗効果をもたらします。統計データを取り扱うStatista社によれば、世界中には13,385のデータセンターがあり、そのうち米国には約4,400カ所が存在します。次いで多いのが英国で、推定550カ所となっています。 米国では、主要なデータセンター建設はほぼすべてが国内でまかなわれています。旺盛な電力需要がエネルギー部門を活性化させ、送電網インフラ、原子力発電、および再生可能エネルギーの導入に向けた投資を促進しています。こうした設備拡充には広範な土木工事、物理的なセキュリティ設備の設置、そして地域的な公共インフラの拡張が必要となります。これにより、構造用鋼材の生産とともに、大型電気設備製造への需要が生まれ、建設エンジニアリング全般への需要につながっています。その結果、アジアがマイクロチップを通じてAIを推進しているのに対し、米国の設備拡充はより広範な産業復興を後押しする触媒としての役割を果たし、国内経済全体の製造業、エネルギー産業、工業部門を底上げしています。 転換社債という選択肢 債券利回りの上昇傾向は、株式市場の好調な推移と並行して続いています。金利上昇見通しを勘案すれば、株式は今後も債券を上回るパフォーマンスを維持するものと思われます。しかし債券市場に希望がないわけではありません。投資家は、債券ポートフォリオの中で株式に近い要因からリターンを得られる可能性があります。その一例がハイイールド債です。指数ベースのクレジット・スプレッド(国債との利回り差)は米国市場で260ベーシスポイント(2.60%)となっており、欧州ではそれをわずかに上回る水準です。一般的な3年の償還期間で考えると、国債と比較して8%以上の追加の複利リターンが潜在的に見込まれるということです。また、特に中央銀行が政策金利を緩やかに引き上げるようなケースでは、変動利付債の魅力が高まる可能性もありそうです。 そして、高い利回りと株式相場の上昇の両方から恩恵を受けられる資産クラスの一つが転換社債です。転換社債の一部には、変動金利となっているものもあります。投資家は債券のようなリターンを得られるだけでなく、発行企業の株価が上昇した場合には株式に転換する選択肢も得られます。転換社債は仕組みが若干複雑ではありますが、現在のような市場環境において、潜在的に良好なリターンが見込まれます。2026年の年初来で見ると、米ドル建てのグローバル転換社債指数のリターンは、ほとんどの債券指数を大幅に上回り、多くの株式市場のリターンと比べても引けを取らない水準となっています。 投資アイデア – 米国および新興国におけるディスラプティブ(創造的破壊)・テクノロジー戦略 根拠: AIブームは、グローバル経済全体に革新的で有益な新製品やサービスを提供するとともに、事業活動や雇用体系を変革する力を秘めています。より強力なアプリケーションが開発されるにつれて、AIインフラ、バリューチェーン、ソフトウェア・アプリケーションへの投資機会はより多く創出されることになるでしょう。このテクノロジーの未知なる可能性は、引き続き強力な設備投資と潜在的なリターン機会の創出を下支えすると思われます。 投資アイデア – 欧州株式 根拠: 欧州の経済的自立の達成に向けた戦略的な重点分野が、引き続き2026年の欧州株式の投資機会のサポート材料となるでしょう。防衛やデジタルインフラ、グリーンテクノロジーへの支出が欧州全域で優先され、長期にわたって欧州主要国や欧州連合(EU)全体の取り組みからも恩恵を受けると予想されます。この影響は多くのセクターに波及することも期待されます。欧州株式は米国や日本よりも低いバリュエーションで取引されているため、欧州株式の潜在的な投資機会は多いとみています。 投資アイデア – 米国ハイイールド債 グレジット市場の投資環境は引き続き良好です。世界経済の成長はエネルギーショックに対して耐性を示し、企業収益も堅調さを維持しています。金利の上昇により利回りが上昇し、インフレ率は2.0%を上回って推移していることから、米FRBによる年内の利下げの可能性はほぼなくなったとみられます。これにより、クレジット市場の利回りは魅力的な水準で推移する見込みです。投資適格社債の発行が増加している一方で、ハイイールド債市場は、信用力の向上や、テクニカル面およびキャッシュフロー面での好材料により、引き続き恩恵を受けています。7%を超えるハイイールド債の利回りは魅力的であり、2026年8月までの米国ハイイールド債のインカム収益は4.2%程度となっています。この市場セグメントでは、厳選された銘柄選択とレバレッジの適切な活用により、指数に対してトータルリターンをさらに向上させる可能性もあると思われます。 資産クラス別概要 表明された見解は、資産クラスのリターンおよびリスクに関する BNPP…

By Chris Iggo & other authors
08/09/26