私たちは、不確実性の高い時代にすっかり慣らされてしまっています。とはいえ、2022年は金融市場にとって極めて困難な年となりました。株式60%/債券40%で構成された伝統的なポートフォリオの投資的根拠は、「派手なリターンをもたらさないものの、底堅い投資成果をもたらす」という点です。10月時点で60/40のポートフォリオは、第二次世界大戦以降で最悪の年に匹敵するパフォーマンスを記録するペースとなっています。
この主因となったのは、急速に上昇した債券利回りでした。債券利回りの大幅な上昇は、デュレーションが超長期にわたる株式のような資産にとって重しとなり、米ナスダック指数は年初来で30%近く下落しています。60/40のポートフォリオ以外に目を向けると、バリュー株が直近数年間のトレンドに反してグロース株をアウトパフォームするなど、大幅なスタイル・ローテーションが見られました。為替市場では、米ドルが急騰し、日本円の保有者にとっては、記憶から消し去りたい年となりました。
地政学的な緊張が存在する中での舵取りは、投資家が職務を遂行する際に、これまで以上に危険を伴うものとなっています。ウクライナ紛争は世界のコモディティ価格に深刻な影響を及ぼし、インフレを増幅させ、欧州はエネルギー政策の見直しを迫られています。このことは、今後数年間にわたり、産業構造や生活水準に大きな影響を与えることが見込まれます。一方、市場は米中関係を注視し、台湾をめぐる緊張の高まりを懸念しています。
2023年には間違いなく、新たなボラティリティの発生源が現れるでしょう。ただし、アクティブ運用を行うマネジャーは、そのボラティリティをチャンスとして捉えると思われます。お客様のために変わりゆくマクロ経済の状況を解明し、それに応じたポジションを構築し、市場の動きを強力なパフォーマンスに変換することが私たちの職務です。私たちは常にサステナビリティに焦点を当てており、投資プロセスにおいて必要不可欠な要素であると確信しています。お客様のために優れたパフォーマンスを提供する行為と、自身の行動すべてにサステナビリティを組み込む行為の間に矛盾が生じることは、私たちにとって容認できないことです。反対に、私たちは、サステナブル投資は制約事項ではなく、投資機会であると捉えています。私たちはこのたび、「Committed to climate: Our net zero roadmap(気候変動に対するコミットメント:私たちのネットゼロ・ロードマップ)」を公表しました。このレポートでは、運用ポートフォリオがネットゼロの排出量を達成するという目標に向けて、私たちがどのように整合性をとるかが明記されています。ネットゼロ投資への道のりを歩む中、皆さまが私たちのパートナーであり続けてくださることを心より願っております。
