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水への投資 – 数多くのソリューション

水への投資機会は、深刻な洪水や干ばつといった気候変動の影響によるものだけでなく、数十年にわたる浄水や排水インフラへの投資不足の結果でもあります。水は広く行きわたらなければなりません。あらゆる経済活動が水を消費しており、ほぼすべての企業がその消費量の管理方法を改善する必要があると考えています。

2022年は歴史上、水関連の被害額が最も大きくなった年の1つでした。欧州の干ばつは、中国の干ばつや洪水と同様に、200億米ドル以上の損失をもたらしました[1]。また、南アフリカやブラジル、パキスタン、オーストラリアでも同様の事例が発生し、さらに200 億米ドル相当の損害が発生しています。

このような水関連の被害とは別に、世界の水資源はひっ迫しています。水の需要と供給との間には大きなギャップがあり、水質やインフラ不足といった懸念も生じています[2]。

国連が持続可能な開発目標(SDG)6 「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」において、水インフラの改善、責任ある水消費の促進、浄水や衛生へのアクセスを確保することを目指しているのは自然なことです。

こうしたことは、水資源関連ビジネスへの投資において、どのような影響があるのでしょうか?

ソリューション・プロバイダーの4つの分野

私たちは干ばつと洪水という相異なる問題に直面していますが、これらの問題は4つの分野への投資によって対処することが可能です。

まず最初に、豪雨については、現在よりも優れた水インフラ(より効率的なポンプおよび排水システム)が必要です。

第2に、干ばつの状況下では、利用可能な限られた水の利用を最適化するためのより効率的ソリューションが必要です。これには、-私たちは3番目の潜在的な投資分野と考えていますが-水を再利用できるようにする大規模な水処理施設が含まれます。

最後の分野は公益セクター(水道事業)です。これらの企業は、安全な飲料水を提供し、廃水を処理し、水の排出(漏水)を最小限に抑えるとともに、水の提供を最大化する水インフラに投資する必要があります。

情報開示と管理の改善

企業の戦略と目標は、ソリューションの重要な部分です。私たちにとって、企業とのエンゲージメントにおける重点分野の1つは、企業が水リスクをより十分に開示し、水課題に対してより戦略的な目標設定を行うよう促すことです。

多くの点で、水課題は温室効果ガス排出量(GHG)よりも複雑な問題となります。気候に関する情報開示とは異なり、水リスクを測定するために世界的に合意された枠組みはほとんどありません。また、水課題は通常、ローカルの(地域の限られた)問題でもあります。これが、水リスクが情報開示のトピックにおいて、歴史的に遅れをとってきた理由です。

良いニュースとしては、多くの企業が情報開示の分野で改善していることです。サステナビリティの非営利団体Ceresは、水関連投資の評価のためのイニシアチブを通じて、72社の企業にアプローチを行いました[3]。

ハイテク企業から高級品メーカーにいたる様々なセクターにおいて、ウォーター・フットプリントの大きい企業に焦点を当てて、情報開示と水管理の改善を支援することを目的としています。

企業自身も浄水および排水の規制に対応することに、より積極的になりつつあります。これにより、私たちの投資先であるソリューション・プロバイダーに対する需要も高まっています。

また、最大の課題の1つは、数十年にわたる水インフラへの投資不足です。その影響は、世界の多くの地域で見られます。このままでは、人口が増加し、より豊かになるにつれて、浄水と衛生システムに対する需要の急増に対処できなくなるという結果につながりかねません。

数十億ドル規模の投資が必要

米国土木学会は、2019年にこの水インフラへの投資不足を年20億米ドルと試算しましたが[4]、状況が迅速かつ真剣に対処されない限り、2039年までに7倍の140億米ドル、あるいは1世帯あたり約3300米ドルに達するとしています[5]。このギャップを埋めることは、市場規模が大きく魅力的な投資機会であると私たちは考えています。

米国における最新のインフラ投資に関する法制は、道路や橋、鉄道、電力網を対象とし、長期的な経済成長を支えるものとなっています。これにより、水関連製品の需要はさらに高まるはずです。

また、欧州におけるEU水政策枠組み指令では、例えば水システムに入る汚染物質の測定ではなく、その結果に焦点を当てたものとなっています。これは、企業(あるいは規制当局)が入浴する際の水質などの課題に優先的に取組むことに役立ちます。

つまり、気候変動やインフラ投資不足の双方に対処する法整備は、あらゆる活動分野に水ソリューションを提供する名のある企業に加え、スタートアップ企業にも直接的なプラスの影響を与えると思われます。

どんな経済環境でも水は必要

私たちは、金利の上昇、差し迫った(米国の)景気後退、エネルギー供給のひっ迫といった現在の環境においても、水関連投資の魅力が弱まることはないと確信しています。

水関連のソリューションへの資金提供を求める企業は、景気サイクルの影響を受けにくい一方、その投資機会は、景気循環の影響を受けやすいセクターからディフェンシブ性の高いセクターまで幅広く創出されます。

ディフェンシブな投資機会としては、医薬品や消費財などが含まれます。また、水インフラの改善には何年もかかり、プロジェクトは好況期や不況期を超えて、水ソリューションに対する長期的な需要につながります。

米国の景気後退と中国の潜在成長率の低下がもたらす結果の1つは、製造活動の内製化につながる可能性があります。これは、水関連ビジネスにとって重要な意味を持つ可能性があります。

例えば、米国がより半導体製造施設の内製化を加速させれば、水のリサイクルと再利用を可能にする超純水や水処理プラントの需要が高まるでしょう。これはさらなる投資機会につながる可能性があります。英調査会社グローバル・ウォーター・インテリジェンスの調査によると、このような半導体施設に200億米ドルの投資を行った場合、そのうちの5~8%(10~16 億米ドル)が水関連であると試算されています。

絶え間ない需要

水不足と洪水の双方の課題を解決するには、即効性かつ長期的なソリューションが必要です。景気サイクルに関わらず、水ソリューションに対する需要がなくなることはありません。

私たちは、消費者向け市場と産業市場、そして先進国市場と新興国市場において、水ソリューションへの増大するニーズがもたらす多様な投資機会があると考えています。

<ご参照>
1 出所:Which climate disasters were the costliest in 2022? | World Economic Forum (weforum.org)  

2 出所:Why water shortages must be placed on the climate-change agenda | World Economic Forum (weforum.org)  

3 出所:Valuing Water Finance Initiative | Ceres  

4 出所:Chronic Underinvestment in America’s Water Infrastructure Puts the Economy at Risk | ASCE  

5 出所:4と同様。

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