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Forward thinking | 記事 - 1 分で読める

ESG懐疑論に答える5つの方法

サステナブル投資にとっては強弱入り混じった1年となりました。金融セクターがサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の準備や実施に向けてセクター全体で取り組んでいるのはもちろんのこと、その多くがネットゼロのコミットメントに署名しています。一方で、ESG統合やサステナブル投資の実践がどの程度まで深く行われているかについて、懐疑的な見方が広がりました。

ESG統合は業界慣行の中で、当然のものへとシフトしたのでしょうか、それともグリーンウォッシングが実務的に行われているのでしょうか? 実際には、それぞれの可能性があるものと思われます。以下では、そのどちらであるかを判断するのに役立つ5つの方法を提示します。

より多くの規制・監視

サステナブル投資の急速な成長により、金融業界、特に資産運用会社が進化し続けるための適切な規制の枠組みの必要性が高まっています。

欧州を中心に、世界各国の規制当局は、サステナブル投資に関連する基準や情報開示をどのように定義、測定し、また監督、実施するかについて検討を続けています。SFDR、第2次金融商品市場指令(MiFID II)、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、EUタクソノミーといった各種規制に横断的に対応することは困難ですが、幸いなことにこうした規制はESG統合のさらなる調和に向けて正しい方向に進んでおり、データアクセスは向上し、共通の測定ツールを定義しつつあります。

サステナブル投資の他の分野において、地域を越えて拡大している自発的あるいは公式の業界・規制イニシアチブの焦点となっているものとして、スチュワードシップ (議決権行使とエンゲージメント) 、投資除外ポリシーの実践、テーマ型投資、インパクト投資なども挙げられます。

サステナブル投資が成熟していくにつれて、投資家はその背後に何があるのかを理解し、中身のないサステナブル投資を薦められている訳ではないという安心感や手段も手にすることになるでしょう。

誰もがネットゼロへ

米コンサルティング大手マッキンゼーの調査によれば[1]、全世界がエネルギー転換の課題に取り組むためには、現在から2050年までの間に毎年3兆3000億米ドルから3兆5000億米ドルの追加投資を行う必要があります。これは、世界の企業利益の半分に相当するような大きな数字ですが、重要な経済的機会をもたらすとともに、気候変動による壊滅的な影響を緩和するために不可欠なものです。

こうした必要とされる資本再配分の規模を反映するかのように、グラスゴーで開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP 26)では、2050年までの炭素排出ネットゼロを達成するための国家レベルおよび投資家レベルのコミットメントが強化されました。現在、約450の金融機関が「ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)」[2]に参加しており、その運用・助言残高は130兆米ドルに達しています。

ネットゼロを実現させるには、金融セクターが実体経済に資金を供給し、投資を行う方法を根本的に変える必要があるでしょう。そして、排出量取引に価格を設定し、より持続可能で包摂的な経済への道を開くため、必要な政策変更を提唱していくことが欠かせません。

スチュワードシップ活動への注目

年次株主総会での議決権行使、企業との対話、公共政策などのスチュワードシップ活動は、ここ数年で著しく関心が高まっています。

こうした関心によって、資産運用会社はどのようにスチュワードシップを実践しているか、より詳細に調査されるということです。例えば、気候関連の株主提案に賛成しているかどうか、そうした提案を自ら行っているか、あるいは企業の義務的な気候情報開示の導入に関する業界のコンサルテーションに回答しているか、回答している場合は何を支持し、その理由は何か、といったことまで精査されるということです。

レーダーに見つからずに飛行できる時代は終わりました。今後は、運用会社がどのように議決権を行使し、エンゲージメントを行うかが重要であり、そのアプローチは、顧客が運用会社を選択したり、解約したりする際に、ますます影響を与えるようになると思われます。気候関連の問題はすでに多くの決議の中心トピックとなっていますが、多様性や包摂性といったトピックも議題に上がってくることになるでしょう。

インパクト測定は将来の課題

良いインパクトを与えたいと思うのは人間の本性です。これは投資家にも当てはまります。

投資がどのようなインパクトを与えうるのか、また与えるべきなのかについては、いまだに議論が続いていますが(プライベートマーケットに限定されるのか、SFDR第9条のファンドがこれに該当するのか、など)、こうした投資に対する需要の大きさは明確になっています。

私たちは、企業レベルや投資ポートフォリオレベルでのインパクトを測定する方法が進化すると確信していますが、資産運用会社として業界全体で運用している何兆もの資産が与えるインパクトを測定し、運用していくことを模索すべきであると考えています。

インパクト測定への動きとしては、 「インパクト投資の運用原則(Operating Principles for Impact Management)」 の開示文書への署名・報告が挙げられます。また、当社がインパクト測定を模索している一例としては、2022年上期に公表した「サステナブルへの回帰 検証:当社のポートフォリオにおける生物多様性フットプリント」をご参照ください。

資産運用会社に求められる「有言実行」

資産運用会社が、ネットゼロの達成、自然への影響低減、多様性の向上といったESG要因のパフォーマンス向上を企業に求めることにフォーカスするのであれば、自社内においてもこうした目標が優先されるのは当然です。

私たちは、資産運用会社が率先して、多様性と包摂性(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進、紙の消費量削減、プラスチックの使い捨て禁止、地域社会への働きかけといった取り組みを通じて「有言実行」を伴う必要があると考えています。そうでないと、資産運用会社が投資先企業に影響を与えるために必要な正当性を示すことはできません。サステナビリティの企業文化を持つことは、お客様の期待に応えるとともに、社内に優秀な人材を引き付け、維持するための前提条件ともなるでしょう。


要約すると、私たちは、これまで述べてきたような論点でサステナブル投資が進化していくことで、それ自身が守られることになると信じています。金融セクターは、より持続可能な実体経済を促進させるために、資本配分とスチュワードシップ活動を実践する機会と義務を有しているのです。

規制当局からの要求が強まる中、業界全体の透明性は向上しており、遅れを取っている企業が追いつくのは難しくなっていくことが予想されます。

ご参照

[1] The net-zero transition: Its cost and benefits | Sustainability | McKinsey & Company
[2] About | Glasgow Financial Alliance for Net Zero (gfanzero.com) 

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